黒字倒産とは?黒字倒産が起きてしまう理由・対策を解説!

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企業が倒産に陥る背景は様々ですが、利益を上げているにも関わらず、経営に行き詰まる「黒字倒産」が昨今増えています。本記事ではその理由や対策についてご紹介していきます。

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黒字倒産とは?

黒字倒産とは、企業が利益を上げている状況(黒字)でありながら、資金繰りの問題などで経営が続けられずに倒産することを指します。

一般的に企業が倒産するとき、それは経常赤字(収入< 支出)を抱えているケースが多く見られますが、黒字倒産はこのパターンとは異なります。

混同しやすい言葉に「黒字廃業」がありますが、これは黒字であるにもかかわらず、後継者不在などを理由に、経営者が自主的に事業を継続せず終了することを指します。

この記事のポイント

  • 資金繰りの問題は売掛金の多さや短期間での多額返済が原因で、負債の増加は利息負担が利益を上回る場合に起こる。
  • 黒字倒産を回避するための対策には、キャッシュフロー管理、取引条件の見直し、在庫管理の最適化、信用管理、資金調達力の強化、M&Aの活用がある。
  • 経営者は常に企業の現金流状況を把握し、早期に対策を講じることが重要であり、専門家のアドバイスを受けることも有効な選択肢である。

⽬次

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黒字倒産になる理由


では、なぜ黒字でありながら倒産するのか、その理由は主に以下の二つです。

資金繰りの問題

企業は売上があってもすぐに現金が手元に入るわけではありません。売掛金(商品やサービスを提供した後で、後日支払うことが約束された金額)が多い場合、現金が不足してしまうことがあります。これは特に成長期の企業や、大型プロジェクトを抱える企業に多く見られます。

また、短期間に多額の返済が求められるような状況でも、資金繰りに問題が生じます。

負債の増加

企業が多額の負債を抱えていて、その返済に追われる場合、利益が出ていても経営が立ち行かなくなることがあります。特に、利息負担が重く、それが利益を上回ってしまうような場合には黒字でありながら倒産に追い込まれることがあります。

このように黒字倒産は経常収益がプラスであるにもかかわらず、資金繰りの問題や負債の増加などにより現金の流れが逼迫し、その結果として倒産に至る現象を指します。

黒字倒産が起きる仕組み


それではどのような場合に、黒字倒産が起きるのか、架空の家具製造会社の例を挙げて見ていきます。


家具製造会社A社は、注文を受けてから製品を作り始める受注生産型のビジネスモデルを採用しています。製品の品質は高く、利益率も良いため黒字経営を続けています。

あるとき、大型の新規受注を獲得しました。これは一見、良いニュースですが、新規受注の製品を製造するためには大量の原材料を購入し、それに伴う労働コストも発生します。また、製品が完成し納品されるまでの間、A社は収入を得ることができません。

さらに、納品後も即時に全額が支払われるわけではなく、納品後2ヶ月後に40%、さらに2ヶ月後に残り60%が支払われるという契約でした。

この新規受注により、A社は大量の原材料と労働コストを前払いで支払わざるを得なくなりました。しかし、A社の現金及は、それまでの受注にひもづく製品の製造によって大部分を消費しており、すでに限界に達していました。


このような状況下で新規の大型受注を抱え、多大な支出が必要になったA社は資金繰りに窮し、結果的には倒産を余儀なくされました。このような現象が「黒字倒産」と呼ばれます。

事例の場合、売上の発生と入金のタイムラグが原因となりますが、このほか在庫過多によるキャッシュフローの悪化、売掛金の未回収なども黒字倒産の原因になりえます。このように企業経営においては、単に利益を出すだけでなく、適切な資金繰りとキャッシュフロー管理が重要になります。

黒字倒産を回避するために


最後に、黒字倒産を未然に回避するための主な対策をご紹介します。

①キャッシュフロー管理

企業の経営において、単に利益を出すだけではなく、資金繰りやキャッシュフロー(資金の流れ)の管理が重要です。
具体的には、現金収入と現金支出のバランスをしっかりと把握し、現金収入が現金支出を上回る状態を維持する必要があります。これには、将来の収入予測と支出予測も含まれます。

そのため、資金繰り表を作成して管理を行うことが重要です。1~2カ月先の現金の流れを把握しておくことで、あらかじめ対策を講じることができます。
事業活動による経常収入や経常支出、前月繰越金額や次月繰越金額など、キャッシュフローを可視化し、資金繰りの流れを管理しましょう。

また、キャッシュフロー計算書も企業の現金収支の流れを表す重要な財務報告書の1つです。キャッシュフロー計算書は資金繰り表のように細かい取引の内容を記録するものではありませんが、営業活動、投資活動、財務活動の3部に分けて資金の流れの大枠を把握することができます。

キャッシュフロー計算書を構成する3つ 概要
営業活動によるキャッシュフロー(Operating Cash Flow)

これは、企業の主要なビジネス活動から生じる現金流を反映します。たとえば、商品の販売から得た収益や、商品を製造するための原材料や労働力の支払いなどが含まれます。企業の本業である営業活動が現金をどれだけ生み出しているかを見ることができます。
投資活動によるキャッシュフロー(Investing Cash Flow) 資産の売却や購入、投資活動による現金流を反映します。たとえば、機械や設備の購入、不動産の売却などが含まれます。これは企業が将来の成長のためにどれだけ投資を行っているかを見ることができます。
財務活動によるキャッシュフロー(Financing Cash Flow) 株式の発行や買い戻し、借入金の返済や新規借り入れなど、資金調達活動による現金流を反映します。これにより、企業がどのように資金を調達し、使っているかを見ることができます。

例えば営業活動によるキャッシュフローがプラスであり、その範囲内で設備投資や借入金の返済ができる状態であれば順調な経営であると判断することができます。

一方、営業活動によるキャッシュフローがマイナスで、投資活動や財務活動によるキャッシュフローがプラスであれば、資産の売却や借入れにより経営が支えられている状態です。この場合損益がプラスでも、資金繰りの悪化が予想されるため、黒字倒産のアラートが発生していると認識する必要があります。

②取引条件の見直し

黒字倒産は取引先の入金の遅れや売掛金の未回収などによって発生します。つまり、売上が発生しても、その入金が大幅に遅れることで、現金不足に陥る可能性があります。支払いの延長の交渉や入金の前倒しなど、取引条件の見直しを行い、入金サイクルを短縮する努力が必要です。

具体的には、顧客に対して早期の支払いを促す割引などを提供する、あるいは延長支払い条件の顧客に対しては、早期の支払いを求める対応などが挙げられます。

③在庫管理の最適化

損益計算書(P/L)では在庫は経費として計上されません。在庫を抱えすぎると資金繰りに影響を与えるため、適切な在庫管理が必要です。過剰在庫を減らし、適時適量の仕入れを行うことで、キャッシュフローを改善することができます。

④信用管理

売掛金を増やすことは、現金不足に陥る可能性があります。そのため顧客の信用管理を行い、売掛金を適切に管理することが重要です。
支払い能力に不安のある顧客に対しては、クレジット販売を控えるなどの対策が必要です。

⑤資金調達力の強化

資金不足に陥る前に、資金を常に調達できる体制を整えておくことも重要です。具体的には、取引先金融機関との関係強化や、複数の調達先を確保が挙げられます。また、短期資金、長期資金の視点で資金調達の計画を中長期的に立てておくことも重要です。

⑥M&Aの活用

M&Aによる譲渡によって黒字倒産の危機を回避する事例は少なくありません。譲渡益や譲渡先の経営資源と財務力により資金繰りを解消し、さらに後継者不在の場合は事業承継の問題も合わせて解決することができます。

これらの対策は、全てが黒字倒産を防ぐためだけはなく、経営全般の改善策とも言えます。経営者自身が常に企業の現金流の状況を把握し、早めに対策を講じることが大切です。また、専門家によるアドバイスや、必要に応じて資金調達を行うことも重要な選択肢の一つです。

終わりに

以上、黒字倒産についてご紹介してまいりました。黒字倒産を回避するには、経営を行う上での基本であるキャッシュフローの管理や在庫管理など、堅実な経営体制の構築が求められます。また、企業の長期的な発展を視野に入れるならば、M&Aも有効な一手になりえます。

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著者

M&A マガジン編集部

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